最近は薬のおかげもあってか、幻聴、幻覚のたぐいがめっきり減った。それもあり、割と穏やかな生活を送れている、と思う。
とはいえ、雨の降る夜、傘をさす黒い影をみた。もちろん、人かもしれない。しかし、昔みた黒い影にそっくり、そんな気がした。昔、死神とは骸骨ではなく、布であるという話を聞いた。確かにと、妙に納得してしまった。
古今東西、死神だけは共通した「神」である。死というものは、如何なる民族も、国家も超越し、ただ「人間」というだけで降りかかる事象である。故に、「死」を司る「神」という観念を抱けるのだろう。
もし、布が本体であるのなら、いのちを刈り取るのではなく、布であるなら包み込むのではないか。そう思う。
土手で座っていたあの時の黒い影も、死神だとすれば、何を思っていたのだろうか。
傘をさす死神
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死神が命を刈り取るのではなく、包み込む存在だとしたら…そう想像すると、死がとてもあたたかいものに感じます。
「命あるものは誰しも最期は死ぬ」
そのことは悲しく怖いだけでなく、あたたかいものでもあるのだな、と俺は感じました。