Q.なぜ、家の中で起きた虐待のような長年の殺人未遂や恐喝は、罪になりづらいのでしょうか
A.とても鋭い質問だと思います。実際にはすべて罪だとカエルは思っていますし、対策もされるべきだと思います。そのうえで、「罪になりづらい」というより「犯罪行為だと気づかれにくい」という理由を整理してみました。
①家庭が密室化していること
家庭内で起こったことは基本的に周囲から見えにくいです。被害にあった人が外に訴えても、「そんなことはない」と思われたり、家庭内の問題だから周囲の人が口出ししにくい雰囲気があります。近年、近所付き合いや親せき付き合いも減ってしまい、家庭が外から見えにくい傾向にあります。
②子どもや女性など、弱い立場の人たちの人権が軽視されている
子どもや女性など、家庭内で立場が弱くなってしまう人たちを守る考え方や仕組みが十分ではありません。子どもなら大人の方が偉いから、言うことを聞かなければならないとか、女性は家で夫に従い尽くすべきなど、偏った価値観が社会にはまだまだあります。その考え方が基盤としてあると、閉鎖された家庭内では強いものが弱いものを支配したり、従属させることに、罪悪感や間違っている感があまり起きず、むしろ正しいことをしているという常識ができてしまい、問題として浮上しにくいです。むしろ、子どもや女性がわがままを言っているなどという別の問題としてすり替えられることもあります。
③子どもが家以外で暮らす選択肢が少ない
子どもが希望した場合、家以外のところで暮らせる(ちょっと逃げられるところを含めて)選択肢があることが子どもの権利を守るために必要なのですが、そうした仕組みがあまりありません。施設か家か二極化がありますし、施設の数も多くはないことや課題もあります。
カエルとしては全国の学校に寄宿舎を作り、希望する子どもが寄宿舎で暮らせるような仕組みがあるといいと思っています。
④子育てを親に任せすぎる風潮
子育ては親がするもの、して当たり前という考え方が大きいです。そもそも、親だけで子どもを育てることは難しく、どんなに優れた親であっても親だけで子どもを育てるのは望ましいことではありません。子どもの育ちには豊かで多様な大人との出会いや関わりが必要なのですが、現代は何かと「親の責任」みたいなことが重要視され、親が知らないうちにプレッシャーを感じてしまうことも多くあります。そうしたプレッシャーは虐待を起こしやすくします。
とてもたくさん書きましたが、カエルは質問者の心の叫びを感じて、熱くなっています。心の叫びを届けてくれたことに敬意と感謝を表明します。こうした実態がもっと理解され、対策が進むように生きづLABOも活動していきたいと思います。
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